介護施設・事業所の「法定研修」完全ガイド

介護施設・事業所の「法定研修」完全ガイド
介護事業所で研修担当になったばかりの方、年度の研修計画を見直したい管理者の方向けガイドです。現場でよく聞く
・「法定研修」とは何か(どの基準・通知が関係するのか)
・事業所で押さえるべき主要研修テーマ
・年間研修計画の立て方
・記録と運営指導への備え
・オンライン活用のポイント
などについて要点を整理しました。
認知症介護基礎研修への対応や中途入職者の振替方法など、迷いやすい実務ポイントもチェックリスト式で確認できます。
貴施設の研修表づくり・社内説明資料づくりにそのままご活用ください。
介護事業所の「法定研修」とは?
初めて法廷研修を実施する側にまわると、次のような疑問を持ちますよね。
・具体的に何が義務?回数や時間は決まっている?
・行政(運営指導)でチェックされる“研修”はどの範囲?
・施設種別で違いはある?
・記録はどこまで必要?
「法定研修」という言い方のズレ
実務上よく使われる「法定研修」は、単一の法律で一括定義された正式用語ではありません。実際には、介護保険法に基づく指定基準・運営基準、それに関連する省令・通知、さらに虐待防止や感染症対策、防災関連など別法系の指針・ガイドラインで「事業者に研修・教育体制整備を求めている」ものを総称して現場が便宜的に呼んでいる言葉です。
したがって「行政等が継続的な実施を期待・要請している重要テーマ群」=“法定研修相当”として年間研修計画に組み込む、という考え方が現場実務で一般的です。
法定研修と任意研修の違い
| 区分 | 目的 | 根拠・背景 | 行政指導での確認 | 代表的テーマ例 |
|---|---|---|---|---|
| 法定(義務性の強い領域) | 安全確保・人権擁護・制度遵守 | 指定基準、通知、ガイドライン等 | 確認対象になりやすい | 身体拘束廃止、虐待防止、感染症、災害、倫理 等 |
| 任意(推奨・品質向上) | サービス品質・差別化・人材育成 | 事業所方針 | 行政必須ではないが評価要素 | 接遇、口腔ケア、看取り、ICT活用 等 |
実務では両者を切り分けつつ、同じ年間表で管理しておくと抜け防止になります。
未実施リスクを知って社内を説得する
「忙しくて研修どころではない」――現場から出る本音はもっともです。ただし以下のリスクを共有すると、計画への協力が得やすくなります。
行政(運営)指導での指摘
多くの自治体の指導要綱で、職員研修(虐待防止・感染症・身体拘束等)の計画と実施記録、参加状況、資料保存が確認事項に含まれます。実施不足や記録欠落は改善指導につながる可能性があります。
事故・虐待等発生時の説明責任
転倒事故や身体拘束、虐待通報、感染症アウトブレイク等が発生すると「必要教育を実施していたか」が問われます。記録が残っていないと、実施自体が立証できません。
採用・定着面の影響
研修体制が整っている事業所は新人が安心して働ける環境として評価されやすく、離職率の低下にも寄与するとの調査報告が複数の公的機関・公益団体から示されています。
法定研修で押さえる主要7テーマ(優先度高)
以下は多くの指導資料やガイドラインで繰り返し登場する“鉄板”領域です。年間計画の土台にしてください。
1.認知症・認知症ケア
・認知症の基本理解、症状、BPSD対応、コミュニケーション。
・無資格入職者の増加や認知症介護基礎研修義務化との関係が強い。
・グループホームなど認知症対応型サービスでは深度研修推奨
2.身体拘束廃止・虐待防止
・法的位置づけと拘束判断基準、代替ケアの検討。
・虐待の類型、早期気づき、通報フロー、内部通報体制。
・採用時オリエン+年1再研修を目安にする事業所が多い。
3.感染症・食中毒予防
・標準予防策、手指衛生、嘔吐物・血液など体液処理手順。
・インフルエンザ/ノロウイルス等季節性対応と職員健康管理。
・オンライン動画+実地訓練(手洗いチェッカー等)の併用が便利。
4.非常災害時対応(防災・BCP)
・火災、地震、水害、停電など複数シナリオ想定。
・避難経路確認、支援レベル別対応、安否確認・連絡網訓練。
・年1机上訓練+年1避難訓練を組む法人が多い。
5.倫理・プライバシー・法令遵守
・個人情報、写真撮影時の同意、SNS発信ガイドライン。
・加算要件や記録改ざん防止など請求実務に関わるコンプライアンスも含めると管理職研修として有効。
6.事故防止・リスクマネジメント
・転倒、誤薬、誤嚥、機器使用ミス等の事例学習。
・ヒヤリ・インシデント報告を蓄積→改善に活かすPDCAを共有。
7.緊急時医療連携・救急要請
・バイタル変化時の連絡順位、夜勤時対応、救急搬送手順。
・近隣医療機関連携シートを用いたシミュレーション研修。
プラスで組み込みたい任意・強化テーマ
経営課題やサービス差別化に合わせ、以下を追加検討すると効果的です。
・接遇・クレーム対応
・口腔ケア/栄養・嚥下
・排泄ケア・スキントラブル予防
・ターミナルケア・看取り支援
・ICT記録・介護ロボット導入時研修
・外国人介護人材向け日本の介護制度基礎
認知症介護基礎研修 義務化への対応ポイント
近年、無資格等で介護業務に従事する職員を対象に「認知症介護基礎研修」の受講を求める動きが全国的に進んでいます(具体的対象・受講期限・実施方法は都道府県により差があります)。
対象者の考え方
概ね「介護業務に関わる職員(認知症対応の基礎知識が必要)」を想定。既に介護福祉士等の有資格者は受講済み相当とみなす地域もあります。
受講期限・研修時間
採用後一定期間内(例:1年以内)受講完了を求める自治体が多く、6時間程度のeラーニング+確認テスト構成を採用するケースが増えています。
年間研修計画への組込み例
・新規採用者は四半期単位でまとめ受講
・未修了者リストを管理表で常時確認
・既受講者には応用編(BPSD対応)を年次研修で補完
年間研修計画の作り方(7ステップ)
「昨年のファイルを流用」は漏れの元。以下の流れで見直すと抜けを防げます。
Step1 現状把握
サービス種別、職員区分(常勤・非常勤・夜勤専従)、昨年度研修実績、事故・ヒヤリ・指摘事項を棚卸しします。
Step2 必須テーマ洗い出し&頻度設定
身体拘束・虐待防止、感染症、災害、倫理など必須群を一覧化し、「年1」「採用時」「半期」など頻度を決めます。
Step3 制度改正・義務化テーマ反映
年度頭に厚生労働省通知・都道府県福祉局発行資料を確認し、変更点(例:認知症基礎研修、虐待防止強化、BCP)を追加。
Step4 任意・経営課題テーマ追加
離職防止・加算取得・苦情対策など経営視点でテーマを足します。
Step5 年間スケジュール化
繁忙期を避け、季節行事に合わせて配置。例:春=新人教育、夏=虐待/拘束、秋=感染症、冬=災害・振り返り。
Step6 実施形式を決める
集合、eラーニング、動画オンデマンド、外部講師などを組み合わせます。夜勤・パートへの振替を前提に設計。
Step7 記録と未受講管理
計画表、実施記録、出席(署名またはシステムログ)、配布資料、理解度テスト、振替履歴を残します。運営指導で一括提出できる形に整理しておくと安心です。
運営指導(旧実地指導)で確認されやすい研修関連書類
自治体の指導指針を見ると、概ね下記が確認対象に含まれます(具体的書式・名称は地域により異なる)。
・年間研修計画(紙・電子問わず)
・実施記録(日時・内容・講師・参加職種)
・出席確認(署名、受講ログ、テスト結果等)
・義務化研修(虐待防止、認知症基礎 等)実施状況
・災害訓練・感染症対応など記録写真・報告書
・未受講者への振替実施記録
改善指導を受けた場合は、改善計画書と再発防止策の提出を求められることがあります。日頃から記録を一本化しておくと短時間で対応できます。
サービス形態別 重点研修早見表
サービスにより重点は異なります。以下は優先度イメージ(◎=高, ○=中, △=補足)。
※表は横にスライドできます
| テーマ / サービス | 特養 | 老健 | グルホ | 通所 | 小多機 | 居宅 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 認知症ケア | ◎ | ○ | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 身体拘束・虐待防止 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ○ |
| 感染症対策 | ◎ | ◎ | ○ | ◎ | ○ | △ |
| 非常災害時対応 | ◎ | ◎ | ○ | ○ | ○ | △ |
| 事故防止 | ◎ | ◎ | ◎ | ○ | ○ | △ |
| 倫理・プライバシー | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| ケアマネ制度 | ○ | ○ | △ | △ | △ | ◎ |
ケアマネ・主任ケアマネ研修を現場でどう扱うか
ケアマネ資格は5年更新
更新期間内に所定の更新研修を受講しなければ資格が失効します。配置基準や居宅支援事業所の運営に影響するため、勤務調整を早期に行いましょう.
主任介護支援専門員(主任ケアマネ)研修
ボリュームが大きく長期日程になることが多いため、勤務割り振りと研修費用負担の社内ルールを決めておくと混乱を防げます。オンライン・オンデマンド併用型を採用する自治体も増えています。
事業所側のチェック
・更新年度職員を年間研修表に明示
・社内必須研修との重複整理(免除扱いの線引き)
・研修不参加期間中の業務代行体制
研修運用をラクにするオンライン/eラーニング活用
夜勤・パート・短時間勤務が多い介護現場では、集合研修だけで全員受講を達成するのは難題です。オンラインを組み合わせ、受講率と記録精度を両立させましょう。
オンライン活用の主なメリット
・シフトを止めずに受講できる
・多拠点でも同じ教材で品質統一
・受講ログが自動で残る
・振替が容易
導入前に決める運用ルール
・視聴完了をどう判定するか(時間・テスト)
・職員ID単位で受講管理(共用禁止)
・オフライン視聴時の修了申告方法
ハイブリッド研修モデル(推奨)
・事前オンライン:基礎知識をオンデマンド視聴
・集合研修:ケーススタディ・ロールプレイ・質疑
・事後確認:テスト・アンケート・修了登録
この三段構成は「時間削減」「定着率向上」「証跡確保」のバランスが良く、近年導入が増えています。
研修管理を効率化するなら:admint TV Learning(LMS)
必要研修を分かりやすく動画を使ってオンラインで実施したいが、専任のシステム担当者もおらず、LMS(eラーニングシステム)も無い。
admintTV Learning は、介護・医療向けの動画学習と受講管理を行える、ノーコードで構築可能な動画を中心としたLMSサービス(学習管理システム)です。 eラーニング事業者と共同で使いやすさを求めて開発したサービスです。
法定研修テーマの動画配信
虐待防止、感染症対策、災害・BCP、認知症ケア入門などを動画教材として職員IDに配信。視聴状況を自動集計。
年間研修計画と連動した通知
事前に登録した実施月に合わせて対象職員へ受講リマインド。未受講者のみ追跡することができます。
受講履歴・修了証・提出用データ
視聴ログ・テスト結果を基に修了判定。PDF修了証の発行やCSVエクスポートで運営指導資料作成を短時間化。
多拠点法人対応(オプション)
本部が教材を一括管理し、拠点ごとの受講率を比較。指導前に未達拠点だけ追い込みが可能です。
詳細についてはお問い合わせください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 法定研修は最低何回必要?
テーマや自治体によって異なります。回数で考えるより、必要テーマを年度内に確実に実施する発想が安全です。
Q2. オンライン受講で認められる?
多くの知識系テーマはオンライン+受講確認で対応可能な地域が増えていますが、避難訓練など実地が不可欠な項目は別途現場対応が必要です。地域要件を確認してください。
Q3. 中途入職者への振替は?
四半期単位で未受講テーマをまとめ視聴させる方式が負担少なめ。年度末一括は欠勤・残業が増えがちです。
Q4. 研修記録の保存期間は?
地域差がありますが、最低3年程度を残す事業所が多く、5年保管とする法人ルールも見られます。
Q5. 認知症介護基礎研修の対象は?
無資格で介護業務に入る職員を中心に求められるケースが多いものの、資格保有者の取り扱いは地域要件に従ってください。
Q6. ケアマネ更新研修は事業所内研修で代替できる?
原則別枠です。自治体指定の更新研修を受講しなければ資格更新できません。社内研修は補完として位置づけましょう。
まとめ
・「法定研修」は複数の基準・通知にまたがる重要テーマ群。自事業所向けに一覧化することが第一歩。
・年間研修計画+記録整備で運営指導リスクを大幅低減。
・オンライン併用で受講率を底上げし、夜勤・パートにも対応。
・管理工数を削減したい場合は、動画配信と受講履歴を一元管理できるシステム(例:admintTV Learning)の導入を検討すると効率的。
ご不明点や「自事業所向けにテーマを整理したい」といったご相談があれば、お気軽にお問い合わせください。すぐに現場規模に合わせてご提案いたします。
admintTV各種サービスのよくある質問
admintTV BasicとadmintTV Portalの違いは何ですか?
admintTV Basicは、お客様のWebサイト上でiframeタグを利用した動画コンテンツ配信を可能とします。一方、admintTV Portalは動画配信機能においてはadmintTV Basicを継承。さらに、ポータルサイト作成機能、会員管理機能、決済機能(3Dセキュア対応)などが利用できます。
動画配信システムの価格・費用はいくらですか?
動画配信システムadmintTV ・admintTV Portalでは、お問い合わせいただいたお客さまに個別にお見積もりをお出ししております。こちらのお問い合わせフォームより価格についてお尋ねください。
サービス資料はありますか?
弊社の動画配信システムの機能や導入事例等はWebサイト上に掲載していますが、詳細な資料は別途用意してございます。資料の送付をご希望のお客さまは、お問い合わせフォームより資料をご請求ください。
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