動画配信のDRM(デジタル著作権管理)とは?DRMの機能と不正利用防止の基本
インターネット上で会員限定動画を配信したい、デジタルコンテンツの販売を検討している。また、社内向けに研修用動画を流したいなど、ビジネスの中で動画コンテンツの配信を行おうとする動きは、企業・個人、規模の大小に関わらず年々増加しています。
DRMが必要な理由
動画コンテンツのデジタル化によって、高音質・高画質での動画の有料配信や動画コンテンツのレンタルや販売が一般的になりました。
しかし、デジタルコンテンツはコピーを作りやすく、海賊版の出回りやすい点が大きな問題となっています。過去の海賊版といえば、ブートレグとして知られるような、ライブの違法録音音源や、製品版のビデオテープをダビングしたものであったため、オリジナルに比べ劣化が激しいものでした。
しかし、デジタルコンテンツはコピー時の品質劣化がないため、海賊版と製品版にクオリティの違いがありません。また、Webを介して容易にアップロード・ダウンロードできるため、利用者にとってはとても利便性が高い商品です。しかし、不正利用者にも同様の利点があるため、大きな問題となっています。
これらの海賊版が、無料の動画配信サイトやデータ共有サイトに公開されてしまうと、著作権者は多大な不利益を被ることとなるのです。
海賊版は海外のサーバに保管されてしまうことが多いため、法的な対処が取りにくく、対応するにも長期にわたることが過去の事例で判明しています。ですから、著作権者側であらかじめデジタルコピーを作られない、そしてウェブ上で勝手に公開されないよう自衛をする必要があるのです。
そのために利用されるのが、データの暗号化とDRMの利用です。
映像におけるDRMとは?
DRMとは、日本語でデジタル著作権管理のことを意味し、Digital Rights Managementの頭文字をとったものです。具体的には、音楽・動画・画像などのデジタルコンテンツに対し暗号化などを施しコピーを防ぐ、著作物の管理技術の事です。
DRMでできること
DRMがデジタルコンテンツに対しできる代表的なことは、主に以下の内容になります。
コピー利用の防止
コピー回数の制限
閲覧期間の制限
印刷の制限
コピー利用の防止
動画コンテンツのデジタルコピーを制御し、不正コピーを防止する仕組みです。こちらをご覧になる皆さまも、動画コンテンツの配信や販売において、DRMの導入を考える理由の多くはこのためではないでしょうか。
ストリーミング配信や、専用アプリとセットのダウンロード販売など、動画コンテンツのデータは暗号化されているのが現在では当たり前です。DRMはこの暗号化技術の1種です。暗号化された動画コンテンツを再生するためには、専用の暗号鍵が必要になります。後述しますが、DRMが施されたコンテンツの再生には、コンテンツデータとそのデータを再生するためのプレイヤーアプリの双方がDRMに対応している必要があります。
コピー回数の制限
完全なコピー利用防止だけでなく、コピーを回数制限つきで認めるという場合もDRMの仕組みが利用されます。
例えば、コピーが1回のみ可能な「コピーワンス」や、10回可能な「ダビング10」といった仕組みが有名です。
閲覧期間の制限
DRMにおける閲覧期間の制限は、特定のコンテンツが利用可能な期間を制御する手法です。これにより、サブスクリプションベースでの提供やレンタルサービスにおいて、ユーザーは一定の期間内でコンテンツを利用できます。制限は通常、購入またはアクセス開始からの経過時間や、一定の期間のみアクセス可能なライセンスが組み込まれることで実現されます。
印刷の制限
DRMにおける印刷の制限は、デジタルコンテンツを紙媒体などに複製する行為を抑制し、知的財産権を保護するための手法です。主にPDFや電子書籍などの文書形式に適用されます。
印刷回数の上限を設定することで、機密性を維持し、不正な複製を防ぎます。制限は基本的にライセンスに基づいて管理され、正規の利用者にのみ特定の条件下で印刷が許可されます。これにより、著作権者は適切な報酬を受け取りつつ、コピーの転売や流通を抑制します。
DRM使用時の注意点
動画コンテンツを配信するにあたって、絶対に忘れてはいけないのは視聴者の都合です。コンテンツ保護はもちろん大切ですが、視聴者がどのような環境で動画コンテンツを閲覧するかは視聴者の自由であり、「このブラウザで無いと視聴ができない」という制限を作れば、顧客の取りこぼしに繋がり、損失となる可能性が大いにあります。
そのため、取り扱うDRMの選定は大切で、日本および全世界でのブラウザシェアで高順位を占めるブラウザに対応したDRMを使用することが肝要となります。
その結果、動画コンテンツ配信においては、下記の3つが主要3種と呼ばれています。
●Google Chrome/Mozilla Firefox/Androidに対応するGoogle Widevine
●Safari/MacOS/iOSに対応するApple FairPlay
●Microsoft Internet Explorer/Microsoft Edge/Microsoft Windowsに対応するMicrosoft PlayReady
一般的なコンテンツ不正コピー防止策-DRM以外もある?
では、DRM以外にはどのような不正コピーを防ぐ方法があるのでしょうか。
ここでは、DRM以外の代表的な不正コピー防止策をまとめました。
暗号化配信
動画そのものを暗号化し、再生時に暗号を解除しなければ視聴できないようにする仕組みです。暗号化されていると、仮に動画コンテンツのデータをコピーされたとしても、復号キーがなければ再生することができません。
ワンタイムURL
一度だけ動画コンテンツのデータを呼び出すのに有効なURLを生成し、時間限定・再生回数限定で動画コンテンツ再生のリクエストを受け付ける配信のことを言います。条件を満たすとURLは無効となりアクセスができなくなるため、不正なアクセスや拡散を抑制します。
ドメイン制限
指定されたドメイン(インターネット上の住所)のみでしか動画を視聴できなくする制限方法です。動画を再生するためのプレイヤーが特定のドメインのWebサイト上にないと、動画コンテンツの再生ができません。
指定ドメイン以外のサイトに動画プレイヤーを転載しても視聴できないなどの制限をかけることができ、別のWebサイトに転載されるなどの意図しない拡散を防止できます。
IP制限
指定されたIPアドレスの元でのみでしか動画を視聴できないようにする制限方法です。主に企業内での動画コンテンツの共有に使われます。社内セミナーや、eラーニング、機密情報など、社内のネットワークを使う時に利用されています。
パスワード設定
動画コンテンツにパスワードを設定し、限られた人のみに公開できるようにする仕組みです。企業などでよく利用される方法で、会員限定映像や、雑誌の付録映像などのちょっとしたサービスにも使われます。
ただし、パスワードが流出してしまうと、パスワードを手に入れた人は誰でもその動画コンテンツにアクセスできてしまうリスクがあります。
動画コンテンツ販売ビジネスならDRMは必須
動画コンテンツの不正コピーに関しては、前述したように様々な防止対応策があります。その様な状況下でも動画配信システムにDRMを導入する必要は果たしてあるのでしょうか?
先に結論を申し上げると、DRMは重要性・機密性が高い動画コンテンツを扱う場合や、他の著作権者よりライセンスを受けて有料の動画コンテンツを配信するような場合には必須となります。しかし、無料で配信するセミナー動画などであれば、DRMのコストに見合ったメリットがあまり無く、そのようなケースならば無理にDRMを施す必要はないと考えられます。(※セミナーの目的などにもよります)
また、完全に動画コンテンツのコピーを排除するということは厳密に言うと不可能です。どれだけ厳重に不正コピー対策を行っても、動画コンテンツが流れている画面そのものをカメラで撮影されることなどは防げません。そのため、動画コンテンツの重要度や、自社の予算に見合った保護方法を採用することが大切です。
その他
その他、動画コンテンツをPCやスマートフォンで閲覧する際、スクリーンショットの機能を制限する「画面キャプチャ防止」など耳にした事がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
DRMの機能は、厳密には、動画を複合化して再生することに特化したもので、画面キャプチャの可否は、また別になります。ですが、DRMのかかった動画コンテンツの場合、ハードウェア、OS、ソフトのそれぞれで制御されることにより、主要なブラウザではほぼ撮れません(※)。
※一部例外もあります。
デジタルクルーズのDRMは万全のセキュリティ
当社デジタルクルーズのadmintTVの動画配信システムは、Widevine、FairPlay、PlayReadyの、主要3種のDRMフォーマットに対応したパッケージング(動画データの暗号化)と配信をサポートしているため、セキュリティは万全と言っても過言ではありません。
お客さまにとって、動画コンテンツは財産と言えるものです。「安心・安全な配信ができてこその、動画コンテンツ配信システム」という考えのもとにadmintTV は開発されています。そのため、VODやLIVE配信など、どんな状況でも、admintTV とDRMの組み合わせはお客さまの大切なコンテンツを、世界最高レベルのセキュリティで不正コピーや違法ダウンロードから守ります。
それでは先にも書きましたが、次の項で当社の動画配信サービスで対応している主要三社のDRMを改めてご説明しましょう。
■Google Widevine
Google Widevineは、パソコンでの視聴の場合、Google Chrome、Mozilla Firefox®に、携帯電話などでの視聴の場合はAndroid™のブラウザに対応しているDRMになります。Google WidevineのDRMは、Silverlight(Webブラウザ上で動画コンテンツや音楽を視聴できるMicrosoft社のソフト)などのプラグインが利用できないブラウザへのDRM配信が可能となります。
■Microsoft® PlayReady
Microsoft® PlayReadyは、パソコンでの視聴の場合Microsoft® Internet Explorer®/Microsoft® Edge®のブラウザに対応するDRMです。古いブラウザだとSilverlightで動作し、Internet Explorerの最新バージョンやMicrosoft EdgeではHTML5(Flashなど動画コンテンツを視聴するためのプラグインを使わずに、視聴できる仕組み)で動作します。
■Apple FairPlay
Apple FairPlayは、MacOSとiOSの端末で視聴する際、Safariブラウザに対応するAppleのQuickTimeマルチメディア技術に内蔵されたDRMです。
これら主要三社のDRMは、視聴者の視聴環境に紐づいています。お持ちの動画コンテンツを視聴者がどのような環境で閲覧するかは視聴者次第。この三社のDRMに対応していれば、ほぼ全ての視聴環境を網羅したと言っても良いのではないでしょうか。
ですが、DRMはライセンス費用を要する場合が多く、実装するにも技術的な面含め、なかなかに大変です。手間とコストがかかるだけあって、高度なセキュリティ対策が必要な有料販売のための映像や機密情報をはらんだコンテンツ配信にあたっては、その動画コンテンツの保護において高い効果が期待できます。
そんなDRMをご自分たちで実装・運用したいけれど難しくてどうして良いのかわからない、という場合には、当社の提供する動画配信システムadmintTV のように、DRMに対応できるサービスもありますので、ぜひご検討してみてはいかがでしょうか。
admintTV Portalの特長
admintTV Portalは、特にセミナーや社内動画研修のサイト構築などを得意とし、1つのページ内に複数の動画コンテンツを配置することが可能です。また、DRMをはじめとする著作権保護機能も搭載しており、動画コンテンツの不法コピーを防げます。
VODや疑似ライブ配信などの動画コンテンツを販売/配信する際、ポータルサイトをノーコードで簡単に構築可能です。
admintTV Portalの詳細はこちら
⇒admintTV Portalについて
お問い合わせ
今回ご紹介した、動画コンテンツにおけるDRMの役割、いかがでしたでしょうか。DRMの重要性はご認識いただけたのではないかと思います。とはいえ、専門的な話であることは間違いなく、普段から身近なものでは無い企業様にとっては、DRMは対応させたくとも、どうすれば良いか判断が難しいかもしれません。
その場合には動画コンテンツ配信にあたりDRMを取り扱っている動画配信プラットフォーム提供企業に相談してみることをおすすめします。
admintTV では、動画コンテンツ配信に特化したサービスのご提供を行っています。「動画コンテンツ配信事業を始めたい」と思い立ったら、まずは、当社にどうぞ。お問い合わせは無料ですので、お気軽にご相談ください。
admintTV各種サービスのよくある質問
admintTV BasicとadmintTV Portalの違いは何ですか?
admintTV Basicは、お客様のWebサイト上でiframeタグを利用した動画コンテンツ配信を可能とします。一方、admintTV Portalは動画配信機能においてはadmintTV Basicを継承。さらに、ポータルサイト作成機能、会員管理機能、決済機能などが利用できます。
動画配信システムの価格・費用はいくらですか?
動画配信システムadmintTV ・admintTV Portalでは、お問い合わせいただいたお客さまに個別にお見積もりをお出ししております。こちらのお問い合わせフォームより価格についてお尋ねください。
サービス資料はありますか?
弊社の動画配信システムの機能や導入事例等はWebサイト上に掲載していますが、詳細な資料は別途用意してございます。資料の送付をご希望のお客さまは、お問い合わせフォームより資料をご請求ください。
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